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おひねりって何のことでしょうか?
劇場公演やイベントステージなどで、一般のお客様の中に紛れている偽物の客のことを指します。
イベント業界で言われるサクラとは、劇場公演やイベントステージなどで、一般のお客様の中に紛れている偽物の客のことを指します。そのため、「偽客」と書いて「サクラ」と読むという当て字もあったりします。主には主催者などから依頼された第三者だったり、ときには関係者自身だったりします。
サクラを行う目的としては、
など様々です。
三番目の客上げ用のサクラは、少し意味合いが違うことから「仕込み」「仕込み客」などと言われたりもします。最近ではあまり見られませんが、マジシャンなどがお客様の中から適当に選んでいるように見せて、実は事前に打ち合わせをしていた客であった。そして、マジシャンの意図した動きをするので、マジックのネタが簡単に行える、というような具合です。
諸説ありますが、もともとは歌舞伎の世界が発祥と言われています。歌舞伎には芝居の見せ場で、役者に掛け声をかける「大向う」という習慣があります。
大向う
1.芝居小屋の向う桟敷の後方、舞台から最も遠い客席のこと(歌舞伎座では、構造上3階B席から幕見席あたりを指すものとして理解されている)。またそこに坐る客を指す隠語・通言。主として歌舞伎で用いられ、安価な席にたびたび通ってくる見巧者の客を指す。「大向うを唸らせる」といえば、そういった芝居通をも感心させるほどの名演であることを意味する。
2.1から転じて、大向うに坐った客が掛ける声、またそれを掛ける客のこと。主に歌舞伎の用語。本項で詳述。
引用:Wikipedia
よく、
「成田屋ーーー!!」
「中村屋ーーー!!」
などと、歌舞伎役者の屋号が、一般的ですが、その他「七代目!」などの代目、その他「たっぷりと!」など、よく用いられる決まり文句が数多くあります。
これらを、一見の客がタイミングよく発声するのは難しいため、大向うに座った通な客が、ちょうどよいタイミングで掛け声をかけ、盛り上げていた。
そのため、大向う(の掛け声、以下大向うはその発声の意味で使用)が歌舞伎には無くてはならない存在となり、良い大向うが無いと、芝居も盛り上がらない、というふうになってしまいました。
そこで歌舞伎の興行主は、歌舞伎の公演をタダで見せる代わりに、指示をしたタイミングで決まりの良い大向こうを掛けてもらう、という約束事をしたのがサクラの始まりと言われています。
こちらも諸説ありますが、まず前提として、基本的には隠語であることが多くのその他業界用語の場合で共通しています。
主催者がサクラとして大向こうを頼む際に、「今度サクラをしてくれ」という声が、仮に漏れ聞こえても、(今でこそサクラは一般的にも知れ渡っているが)当時は誰もそれがなんのことかわからなかったので都合が良かった。
そのため、なるべく関係が全く無い言葉から、無理やり着想を得ていることが多く、よく花や木などの植物が用いられています。
代表的なのが肉です。江戸時代まで肉を食すことが禁じられていた(獣肉食の禁忌)ことから、同様に隠語でその肉の見た目などから植物の名前が付けられました。
鳥は柏の葉っぱのような見た目から、馬は肉の色味が桜色だったことから、猪は肉を切って並べた様子がまさに牡丹そのものだからです。
少しかわったところでは、鹿(しか)は花札から来ています。
そして、サクラの語源ですが有力な説が2つあります。一つ目は、大向こうの際にも説明したようにサクラとして呼ばれるものは、その交換条件にタダで歌舞伎を見られるということでした。そのことから、桜のお花見は当然タダで見られますよね。それと結びつけて、サクラ、というようになった説。もう一つが小気味よい大向うは、ぱっと簡潔に短くあっさりとしています。それが桜が咲いて散っていく様子「パッと咲いてパッと消える」という特徴になぞらえている、という説。この2つ、もしくは両方をあわせて、というものです。その他、江戸時代の言葉で、「作労」サクラウ、と読みますが、これが今で言うところの「労働」の意味で、そこから来ている、という説もあります。
サクラという言葉は、今やご承知の通り、普段の生活の中でも広く使われるようになっています。この広がりは、時代が江戸から明治に入ったころからと言われています。ときは商人の時代になり、様々な商売が各地で起こりました。その際に、店主からの依頼を受けて、客の中に紛れ込みなかなか売れない商品を買ったり(もちろん後でお金を返してもらう)、商品の良いところを店先で(過去に購入したフリをして)吹聴したり。構図としては、大向うと近いものがあることから、同じくサクラというようになりました。ただ、大向うよりも悪質性が増していることがわかります。「偽客」と書いて「サクラ」と読むという当て字が使われるようになったのがこの頃というのも頷けますね。その頃から、一般にも非常に広く広まり現在では、
など、よりサクラというより、偽客という意味合いが強い、なおかつ犯罪にも思えるようなサクラが非常に多くなっているのが現状です。サクラについて思うところが様々あるかと思いますが、サクラの発祥である歌舞伎の大向うで小気味良い掛け声を発する歌舞伎ファン。仮に主催者から頼まれていたとしても、現代においても、大向うが歌舞伎に無くてはならないとまで言われるようになったのは伊達ではありません。サクラの語源である「桜のようにパッと咲いてパッと消える」粋な江戸の大衆たちのことを思うと、サクラが現代にこのような使われ方をしているのを思うと、悲しみの念を禁じ得ません。
もちろん詐欺や詐称などの犯罪については、決して行っては行けない行為です。それを除いてももちろんイベントパートナーでは、人を動員するようなサクラを行うことは絶対にあり得ません。ただし、現代、非常にネガティブなイメージの言葉ですが、今一度サクラの発祥を思い出してみてください。例えば、テレビ番組などでスタッフの笑い声を敢えていれているのも広義のサクラと言えます。またイベント会場などで関係者などが率先して拍手をしてお客さんが盛り上がりやすい雰囲気をつくるのもそれです。
かの有名な故三波春夫の名言
「お客様は神様です」
実はこの意味を、ダウンタウンの松本人志さんは、一般的にイメージされているものと別の意味で解釈しています。観覧のあるTV収録で、クスリとも笑わないお客さんが居た。腕組みをして、ブスッとしている。松本さん曰く、さも「俺はちょっとやそっとじゃ笑わないぞ!俺を笑わせられたら大したもんだ」とでも言いたげ、と。その空気は伝搬して、会場全体がいわゆる「重たい空気」に支配され、思っていた以上に盛り上がらなかった、と。「お客様は神様です」は、お客様に迎合してなんでもかんでもお客様の望むとおりに謙るってことではない。良くも悪くも、面白くなるかどうか?盛り上がるかどうか?はお客様の心の持ちようである。自分もこのイベント・公演の参加者であると思えるか?心から楽しみたいと思えるか?
それ次第でどれだけこちらが良いものを魅せても、最終的な成功はお客様にかかっている。そういった「結局(神様のように)すべてを決めてしまうのはお客様」という意味であり、ひょっとしたら三波春夫さんも、その意味も含めてこのように表現したのではないか?というように主張しておられました。
イベントパートナーの提言は、サクラになれ、という意味ではもちろんありません。是非イベント主催者の方はご自身も演出家になったつもりで会場を盛り上げる事を意識されることをおすすめします。
そこまで行かなくても、ご自身はぜひせっかくのイベント、少しでも楽しんでいただきたいと切に願っております。
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